必要な気がしたので、集合論の記号・言葉、定理などのカンペをつくりました。忘れたりするものがかなりあるので。タイトルは大げさか。さーせん。
集合論以前
- カンマ (
,
) は 'かつ' (and) とおなじ意味
- ∀x(p)・・・すべてのxに対してpが成り立つ
- ∃x(p)・・・pが成り立つようなxが(少なくとも一つ)存在する
基礎
- 集合・・・範囲のはっきりした集まり
- 元、要素・・・集合の中にはいっているもの
- a∈A・・・aは集合Aに属する、含まれる
- 有限集合・・・有限個の元のみもつ集合
- 無限集合・・・無限個の元をもつ集合
- よく使われる記号
- N・・・自然数全体の集合
- Z・・・整数全体の集合
- Q・・・有理数全体の集合
- R・・・実数全体の集合
- 外延的記法・・・{a,b,c,⋯}のような記法
- 内包的記法・・・{x∣C(x)}のような記法(ただし、Cは条件)
- 空集合・・・元をまったく含まない集合、記号ϕ
- 相等・・・集合A,Bが、まったく同じ元からなるとき、AとBは'等しい'
部分集合
- 任意のものxについて、x∈A⇒x∈Bが正しいならば、AはBの部分集合である(記号A⊂B)
- 否定はA⊂B
- th. A=B⇔A⊂B,A⊃B
- th. 部分集合は推移性が成り立つ: A⊂B,B⊂C⇒A⊂C
- (∀A)ϕ⊂A
(2021/5/20 追記)
- A⊂BかつA=B のとき、 A は B の 真部分集合 である、という
- ※ 本記事では採用していないが、記号として、A⊆B を部分集合とし、A⊂B を真部分集合とするケースもある。
- どちらが正しいということもない。
- 「真部分集合」や記号 ⊆ について調べてみたが、どうも真部分集合という概念自体が現代ではあまり使われない概念っぽい。
- (とはいえ情報ソースが怪しいものしか無くて詳細不明)
集合演算
- 和集合(結び)・・・A∪B={x∣x∈A or x∈B}
- A⊂A∪B,B⊂A∪B・・・和集合は、足されたものを含む
- A⊂C,B⊂C⇒A∪B⊂C
- A∪A=A・・・冪等律
- A∪B=B∪A・・・交換律
- (A∪B)∪C=A∪(B∪C)・・・結合律
- 省略記法・・・A1,∪A2∪⋯∪An、あるいは⋃i=1nAi
- A⊂B⇔A∪B=B・・・ある集合に、その部分集合を足しても変わらない
- A⊂B⇒A∪C⊂B∪C
- ϕ∪A=A
- 共通部分(交わり)・・・A∩B={x∣x∈A,x∈B}
- A∩B=ϕのとき、A,Bは'交わる'という
- A∩B=ϕのとき、A,Bは'交わらない'あるいは'互いに素である'という
- A⊃A∩B,B⊃A∩B
- A⊃C,B⊃C⇒A∩B⊃C
- A∩A=A・・・冪等律
- A∩B=B∩A・・・交換律
- (A∩B)∩C=A∩(B∩C)・・・結合律
- 省略記法・・・A1,∩A2∩⋯∩An、⋂i=1nAi
- A⊂B⇔A∩B=A
- A⊂B⇒A∩C⊂B∩C
- ϕ∩A=ϕ
- 分配律
- (A∪B)∩C=(A∩C)∪(B∩C)
- (A∩B)∪C=(A∪C)∩(B∪C)
- 吸収律
- (A∪B)∩A=A
- (A∩B)∪A=A
- A,Bが互いに素であるとき、和集合A∪BはAとBの直和という
- 差集合
- 集合Aの元であって、集合Bの元でないものの全体をつくる集合をA,Bの差といい、A-Bで表す
- A−B={x∣x∈A,x∈B}
- A⊃Bである場合、A-BをAに対するBの補集合という
- 考えている全体の集合・・・普遍集合、全体集合
- Xが普遍集合のとき
- X-Aを単に「Aの補集合」といい、Acで表す
- xをXの元としたとき、Ac={x∣x∈A}あるいはx∈Ac⇔x∈A
- A∪Ac=X,A∩Ac=ϕ
- Acc=A
- ϕc=X,Xc=ϕ
- A⊂B⇔Ac⊃Bc
- de Morganの法則
- (A∪B)c=Ac∩Bc
- (A∩B)c=Ac∪Bc
- 集合系・・・集合の集合(その元が、すべてそれ自身集合であるような集合)
- 集合Xのすべての部分集合全体がつくる集合系を巾集合という(ここではP(X)と表現する)
- P(ϕ)=ϕ
- Xがn個の元からなる集合のとき、P(X)の要素は2n個の要素を持つ
- 集合系の和集合(記号:⋃P)・・・Pに属するすべての集合の和集合、すなわち⋃P=x∣∃A∈P
- 集合系の共通部分(記号:⋂P)・・・Pに属するすべての集合の共通部分、すなわち⋂P=x∣∀A∈P
- ∀A∈P(A⊂⋃P)
- [∀A∈P(A⊂C)]⇒⋃P⊂C
- ∀A∈P(A⊃⋂P)
- [∀A∈P(A⊃C)]⇒⋂P⊃C
対応
- 直積(A×B)・・・集合Aの元aと集合Bの元bの組(a,b)全体のつくる集合
- 対応・・・ある集合Aの各元aに、集合Bの部分集合を割り当てるルールΓを、AからBへの対応という。
- Γ:A→Bと書く
- Bの部分集合Γ(a)→Γよるaの像
- A→始集合
- B→終集合
- Γ,Γ′:A→B,∀a∈A(Γ(a)=Γ′(a))が成り立つとき、Γ,Γ′は等しい
- 対応のグラフ
- G(Γ)={(a,b)∣a∈A,b∈Γ(a)}をΓのグラフという
- Γ(a)={b∣(a,b)∈G(Γ)}
- Γの定義域(D(Γ))・・・ΓのグラフをGとしたとき、(a,b)∈Gとなるようなbが存在するようなa全体のつくるAの部分集合
- D(Γ)={a∣∃b((a,b)∈G)}
- Γの値域(V(Γ))・・・ΓのグラフをGとしたとき、(a,b)∈Gとなるようなaが存在するようなa全体のつくるAの部分集合
- V(Γ)={b∣∃a((a,b)∈G)}
- 逆対応(Γ−1)
- b∈Γ(a)⇔a∈Γ−1(b)
- D(Γ−1)=V(Γ),V(Γ−1)=D(Γ)
- (Γ−1)−1=Γ
写像
- 写像・・・対応のうち、始集合の任意の元aに対して、Γ(a)は終集合のただ一つの元から成る集合であるもの
- 定値写像・・・f(x)=1のように、値が固定の写像
- 恒等写像(IA)・・・aにa自身を対応させる写像、IA(a)=a
- Pの元aのfによる像f(a)をすべて集めてできる集合をfによるPの像といい、f(P)と表す
- P1⊂P2⇒f(P1)⊂f(P2)
- f(P1∪P2)=f(P1)∪f(P2)
- f(P1∩P2)⊂f(P1)∩f(P2)
- f(A−P)⊃f(A)−f(P)
- Q1⊂Q2⇒f−1(Q1)⊂f−1(Q2)
- f−1(Q1∪Q2)=f−1(Q1)∪f−1(Q2)
- f−1(Q1∩Q2)=f−1(Q1)∩f−1(Q2)
- f−1(B−Q)=A−f1(Q)
- f−1(f(P))⊃P
- f(f−1(Q))⊂Q
- 全射・・・f(A)=Bのとき、つまり終集合のすべての要素が指されている場合、fは全射
- 単射・・・a=a′⇒f(a)=f(a′)の場合、fは単射
- 全単射・・・全射かつ単射
- AからBへの写像全部の集合をF(A,B)またはBAで表し、Aの上のBの配置集合という
- 特徴関数(定義関数)・・・Xを普遍集合としたとき、Xから{0,1}への写像χA
- χA(X)={10(if x∈A)(if x∈Ac=X−A)
添数づけられた族
- Nから1つの集合Aへの写像aをAの元の列という
- a(n)をanとかき、元の列の第n項という
- 集合{a,b,⋯,n}から集合Aへの写像aをaの元の有限列という
- 一般に、ある集合Λから集合Aへの写像をΛによって添字付けられたAの元の族という
- Λを添数集合といい、その元を添数という
- 集合族・・・族(Aλ)λ∈Λで、Λの各元λにおいてとる値Aλがそれぞれ一つの集合であるもの
- 部分集合族・・・上の集合族の、すべてのλにたいしてAλ⊂Xとなるもの
- 直積・・・Λのすべての元λに対してもa(Λ)=aλ∈Aλを満足するような、族(aλ)λ∈Λ全体の集合
- 選出公理(axiom of choice)・・・∀λ∈Λ(Aλ=ϕ)⇒∏λ∈ΛAλ=ϕ
- 射影(projection)・・・集合族の直積Aの元aに対して、aのλにおいてとる値aλを対応させたとき、その写像を射影(記号: prλorprojλ)という。
- prλ(a)=aλ
定理
- fをAからBへの写像とする
- fが全射であるとき、またそのときに限り、f∘s=IBとなるs: B→Aが存在する
- fが単射であるとき、またそのときに限り、r∘f=IAとなるr:B→Aが存在する
関係
- 関係・・・記号: R(x,y)、xRy
- 同値関係の条件(同値律)
- ∀a∈A(aRa)・・・反射律
- ∀a,b∈A(aRb⇒bRa)・・・対称律
- ∀a,b,c∈A(aRb,bRc⇒aRc)・・・推移律
以上。