- コンデンサの容量の単位→μF(マイクロファラド)
- リチウム電池とか→mAh(ミリアンペア・アワー)
マイクロとかミリとかはいいとして、なぜコンデンサはAhで示されないのか
ちょっと考えてみたけど「なんかの次元がたりないのかもね〜」程度の 曖昧な考えしか出来なかったので、真面目に考えてみる
要するに・・・
この問題は、なぜF(静電容量)とAh(放電容量)が換算できないのか という問題に帰着する。
単位の次元
違いを考えるために、とりあえず愚直に単位の次元を考えてみる。
静電容量について。定義から、 、
ここから導くと
次に、放電容量について。次元のみに着目すると、h(時)=s(秒)つまり、
Fに比べるとAhはやけにシンプル。まぁ単位その物が原始的な次元になってるからね。。。
さて、二つを比較してみると差は明らか。Fの後半のややこしい部分、つまり電圧部分の次元が、Ahには丸ごとなくなっている。
つまり、電圧が与えられていないと、FとAhは変換できない、ということ。
・・・分かったような、分からないような。
真面目に考察してみる
とりあえず、エネルギーを計算して考えてみる。(大括弧内は単位)
まずは、リチウム電池について。 電池の放電容量をD[As]、出力電圧をVbat[V]とする。この二つの値は、電池の種類によって固定される。 放電時間をt[s]とすると、なので、
なので、
となる。変数は無い (すべて電池の定数) ので、最大エネルギーの値は完全に電池依存。
次に、コンデンサが充電されたときのエネルギーを考える。 コンデンサの容量をC[F]とする。これはコンデンサの種類で固定。で、あと充電電圧Vcap[V]が必要。 高校物理のとき(だったっけ?)に習った、静電エネルギーの公式E=1/2CVを使う。 なので、
Cはコンデンサの定数だけど、Vcapは充電時の電圧なので、電池だけでは決定されない、という意味で変数ということになる。
要するに・・・(結論)
- 電池の放電容量の値→完全に電池依存
- コンデンサの静電容量の値→コンデンサと充電電圧に依存
要するに、コンデンサは充電時の電圧によってエネルギー容量が変わるから、コンデンサを決めただけでは放電容量は決められない、ということだ。
電池の出力電圧は電極(と電解液?)に依存する、っていうのは化学で習ったとおり。つまり、電池はどうやって充電しても、出力電圧は一定になる。だから充電電圧には依存しない。
このように、化学変化を利用する電池と、物理現象のみを利用するコンデンサ、という根本的な原理の違いから、結局のところ単位の違いが出てくるわけだ。
換算式
無謀にも換算式を考えてみる。
上の式、 と、 から
As(アンペア秒)をAh(アンペア時)に変換すると
(D': 放電容量[Ah]、C:静電容量[F]、Vcap:コンデンサの充電電圧[V]、Vbat:電池の公称電圧[V])
ただし、コンデンサと電池では電圧の取り出し方がぜんぜん違う。なので、電圧の変換とかにかかるロスやら電圧降下やらで、一概に比較することはできないようです。 あと電池も理想状態のみで計算しているし。
計算してみる
秋月に売ってた電気二重層スーパーキャパシタ。120F、最大定格で使うと2.5V。 これを公称3Vの電池で換算してみる。
答え: 34.7mAh。 (小数点二位以下は丸めています)
んー。。。こんなもんなのか。
ていうかここまで書いて何だけど、何気にこの記事の内容は自信ないな・・・。 絶対考え方間違えてる気がする。誰かに見てもらいたい。
(2021/5/21 追記)
以前のブログ (sunagae.net) でコメントに書いていただいていたのですが、電気二重層コンデンサ - 放電時間の算出方法 | エルナー株式会社 のページによると換算式は
④公称電池容量に換算する場合
Ah = 0.5 × C × V02 / (3600 × Vb)
このようになっていて、係数項をまとめれば本記事と同じになります。 どうも少なくともこことは結論は一致しているっぽいです。
kag9さんコメントありがとうございました。