[読書記録] ひとり空間の都市論

ひとり空間の都市論 (ちくま新書)

  • 著者 南後 由和
  • 出版日 2018-01-10
  • ISBN 4480071075
  • 新書 264ページ
  • 出版社 筑摩書房

都市にある、ひとりのための空間について多面的に分析したもの。 他の文献は「ひとり」あるいは「ひとり空間」が社会との切断を強調して否定的に論ずることが多いが、 本書は比較的肯定的に「ひとり」について考察し、また将来予測をしている。

知った

[序章 外部依存] 住居を「第一空間」、学校や職場を「第二空間」、 ... 飲食店や盛り場などを「第三空間」と読んだ (磯村1968)

  • 将来は第二空間は第一空間とか第三空間とかと混ざってなくなるんでしょうか。自分の働き方ではすでに第二空間がない。
  • まぁでもだいぶ古い分類ですよね

[序章 遊歩者] たとえば日本では、明治期に夏目漱石の『それから』『こゝろ』、森鴎外の『青年』『雁』『かのように』などの文学作品が、 高等教育を受けながらも特定の職に就かない高等遊民を主人公とし ...

  • 特定の職に就かないで、あちこちぶらぶらするというのは若干心当たりがあるというか、憧れみたいなものはあるかもしれない
  • あんまこの辺の小説を避けてきたけど、読んでみてもいいかも

[序章 中間空間] 中間空間の例としては、駅、ホテル、空港、モール、街角、広場などがある (ジョン・アーリ 2015 25p)

  • 本論と関係ないけどこの分類による"中間空間"は自分が好きな場所ばかりだ。なんでだろうか。
  • 自分は中間空間マニアなのかもしれない。

[第1章 匿名性・精神的な距離・孤独と自由] 匿名性をもち、控えめな態度を示し会う人びとは、いかにしてお互いに信頼足るものとして、 都市生活を営んでいるのだろうか。ジンメルによれば、それは「貨幣経済」や「時間的正確さの厳守」 という計算可能性によってである

  • 東京の鉄道が無駄にやたらと正確だったり、日本人が無駄に時間に厳しかったりするのは、東京の過密都市具合だったり、そういうものが影響しているのだろうか
    • 後者は単に心が狭いだけか。
    • 都市生活が心を狭くさせているのか、そもそも日本人の素質なのか。
    • ジンメル 「大都市と精神生活」(1903)

[第1章 規模・密度・異質性] パージェスは図1-2のような「同心円地帯モデル」として説明した。

  • 図1-2には同心円の図が示され、内側から [I.都心地区] [Ⅱ. 推移地区] [Ⅲ.労働者住宅地帯] [Ⅳ.住宅専用地帯] [Ⅴ.通勤者地帯] とある
  • 東京とかに当てはめるとどうなるんだろうか。なんかアメリカとかの都市モデルだと当てはまりそうだけど、東京とかだとちょっとピンとこないきがする。
    • 例えば都心→山手線内側だとすると、推移地帯→海岸・埋立地・川崎、労働者居住地帯→埼玉・千葉・神奈川の駅周辺?、住宅専用地帯・通勤者地帯→労働者周辺?
    • でもふつーに山手線周辺に住んでる人いるし、23区内でファミリーとかふつーにあるしなぁ・・・
    • ていうかそもそも同心円状じゃないし
    • ちゃんと統計とるとそうでもないのかな
  • 「推移地帯」にはスラム街とか、エスニック街が多く、また「貧困・犯罪・売春・非行などの逸脱現象が目立つ」らしい。
    • まぁたしかに川崎はバッチリだね・・・。それ以外の海岸はわからんけど。
  • 大阪とか名古屋とかはもうちょっとはっきりしてるのかな

[同上] ... ハイナーは、ホテルでの自殺率の高さに言及する一方で ...

  • そういう話もあるんだ。知らなかった。アメリカ独自の事情なのかな。
  • Read ToDo: ノーマン・S・ハイナー 「ホテル・ライフ」

[同上] たとえば、パーク (ロバート・E・パーク) は「子どもは村落では財産と考えられているが、都市では負債となる」 この事実に加えて、農場にくらべて都市においては、家族を育てることははるかにむずかしい。

  • まぁそうだよね。効率性だったり匿名性が重視される都市においては子供は邪魔な存在であるのは事実。
    • この辺りを認めないでどうこう議論したって仕方ないよね
  • 農場についてはよく知らない (住んだことないし) けど、少なくともある程度地方のほうが子育てについては楽そうに思えるのは事実。
  • 効率性の追及っていうものに家族っていうスタイルが合わないのかな

[第1章 メディアによる結合と分断] テレビという電気メディアによって地球が縮小され、人々は「地球村」という一つの村落や部族を形成するようになる、としたマクルーハンの予見はよく知られている。

  • 確かにテレビ含めた電気メディアによって縮小はしたけど、結果的にひどいナショナリズム信仰になってしまった、というのは予測の範疇なんだろうか。
  • あとマスメディアだけじゃなくて、多対多のメディアとその影響についても考えられていたのだろうか
  • マーシャル・マクルハーン 「メディア論 (1960)」

[第1章 空間の商品化と集合的消費] 都市では空間が希少性を帯び、高価な値段で市場取引される ... このような事態を「空間の商品化」と呼び、問題視したのが、すでに紹介したルフェーヴル

  • まさに東京のバブル。論じられたのが1960年代だから、バブル(1986年)より前ですね。
  • そもそも空間に金を払うっていうのは意味がよくわからない。なんで所有権があるんだとか。
  • インターネットとか技術的なもので、そういうものの高騰とか、過度な集積は緩和されるのかなぁとか 漠然と考えたけど、むしろこれから都市化はより一層進むらしい (「クリエイティブ都市論」より)。うーん、よくわからない。

[第2章 住宅政策における四畳半] 「ひとりの住まい」としての四畳半の祖とは ... 鴨長明の「方丈庵」にたどりつく。

  • こんなものがあったのは知らなかった。大変素晴らしい家ではないか。
  • 結構有名なのか?知らなかったの自分だけ?

[同上] 注目したいのは、一時的な住まいとし方丈庵を構えた、長明の都との「距離の取り方」である。 長明は、世の中の人々と交わることによる煩わしさを避けるため、方丈庵に隠棲した。 しかし、都と完全に切断されていたわけではない。ときに遠方の都を眺め、ときに噂という口承メディアを通じて 遠隔の都の情報へアクセスすることで、都と再接続ししていた。 ... いわば「眺望-隠れ場」のバランスがもたらす充足感を見出すことができる。

  • すごい、まさに自分が求めていた感じに近い。というか今の木更津のシチュエーションにすごい近い感じがする。
  • 方丈庵→ボロ小屋、都→東京、噂→インターネット、とすればまさに僕。東京も定期的に山から眺めてるし。
    • まぁ、近所に人いるから完全な隠棲じゃないけど。

[第2章 ケーススタディ【住まい編】] 黒沢 (黒沢隆) の近代住居への批判意識がうかがえる。なぜなら、 近代住居は、仕事という「生産」の空間と私生活という「消費」の空間、給料が支払われる時間とそうでない時間を 分離し、後者の受け皿となってきたからである。

  • 確かに現代のサラリーマンとかは「仕事」と「私生活」の分離が明確すぎる。
    • 本来的にはファジーなものだよね
  • 昔もバラバラだったよね
  • ちょっと逸れるけど、「私生活」とか「公私混同」とかって聞くたびに「お前に公とかねぇから」とか毎回突っ込みたくなる。 基本的に全部"私"だよね。
    • こういうこと言い出すのって、嫌な仕事してる人とか、なんか"公"というものに「いやなもの」みたいなイメージがついちゃってるからかな。
    • それとも都市的なものの要請か、資本主義的な要請なのか

[同上] カプセルの思想は、工業化社会から情報化社会へのの転換にともない、モビリティが高まること、 それにより都市における住宅のあり方や都市の使い方も変わっていく

  • 中銀カプセルタワーの話。これ、一時期僕も入居しようとかおもってた。狭いけど家賃が6万円ぐらいで、場所もすごくいいところ。
    • これは賃貸出ててた部屋がエアコンが壊れていたということで断念した。
  • あのカプセル入れ替えとかが本当にできたらすごかったね。
  • モビリティが高まるからカプセルを〜という思想はすごく好きなんだけど、現在の世の中的にはもう人は特定建物に依存することを辞めつつある感じがする。

[第3章] 畳は、さまざまな機能に対応するユニット化した装置

  • 確かに狭小空間では畳の方がいろいろと便利かもしれない。
  • あんま気にしたことなかったけど、について軽く調べたら、 日本独自のものらしい。確かに外国だとコンクリとかタイルとか殺風景なものが多くて、せいぜいフローリングとか。 あまり似たものはない。

[第4章] 『日本の24時間』(1986)

  • Read ToDo
  • カプセルホテル全盛期に出版された写真集。100人の写真家が日本の日常生活を全国で撮ったもの。

[第4章] 「BOOK AND BED TOKYO」

[終章] 過剰な接続志向は、情報技術の進展によってのみもたらされているわけではない。とりわけ2011年の 東日本大震災以降は、「みんな」や「絆」という言葉が標語のように広まった。単一の集団・組織のウチへの帰属意識 が強いとされてきた日本において、異質な他者を排除する同調圧力がさらに強まるようになった。

  • これは確かにすごくそう思う。震災以来やたらめったら「みんなで」とか「絆」がどうのこうのってのが溢れてる。 とても気味悪く感じる。

[終章] 都市の「ひとり」は善悪ではなく「正常」なこと ... 接続と切断のどちらかの二者択一ではなく、 それらのあいだに、どのような「ひとり空間」のかたちがありうるかを模索しつづけなければ

  • 「ひとり(切断状態)」=「孤立」=「異常」みたいな議論は間違いということ。
    • これは東京とか大都市で暮らしたことあれば全然理解できると思うんだけど、地方にこもりっきりだったりだったりする人には理解し難いのかもしれない。
  • 結論的には、いろいろな過ごし方がある、ということで多様性云々という形の結論なんでしょう。
    • その多様性を排除してしまうのが一個上の、震災以来の「絆」なんだろう。

その他知らなかった言葉

  • [第1章] 方丈庵: 上記の通り。歴史の授業でやったのかな。歴史興味なかったから覚えてない。
  • [第3章] 雙個: ふたこ?一個じゃないってことっぽい。
  • [第4章] パピルス: 植物の名前。成形して文字が書ける神みたいなものになるらしい。古代にエジプトとかギリシャで使われていたらしい。